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こんにちは
コロナ禍も収まりつつあり陽気も心もウキウキしますが、あともう少しです。気を引き締めていきましょう。
今回はお尋ねの多い「筆の手入れ」など筆のあれこれです。
先ずは「筆のご法度」(絶対にしてはいけない事)から
ご法度 その① 使用後、キャップに入れて保管する → 毛が腐ります
穂先が傷まない様にキャップをする方がいますが、毛についている水分がキャップの中で蒸れて穂の根元を腐らせてしまいます。乾いているから大丈夫と思っていても穂の根元の中心は乾燥していません。キャップは筆を使い始めるまでの保護用です。筆を使用し始めたらキャップは不要、捨てましょう。
ご法度 その② 使用後、洗わずにそのまま保管する → 毛が傷み、変な癖がつきます
墨で固めるのは穂の形を整える事ができて一見よさそうに思えるのですが、実は筆にとっては非常に良くありません。 固まった状態では 1.毛が傷んで折れやすくなります 2.墨かすが溜まります 3.揮線が二つに割れたり、右・左のはらいのバランスが悪くなります 4.固まった穂を戻すために無理に力を入れて穂首自体を傷めたり最悪根元から折れてしまうこともあります。
使用前にお湯につけて戻してから使うので大丈夫と言う方もいらっしゃいますが、お湯で戻しても根元の墨かすや付いた癖は取り除けません。使用後はお勧めの洗い方で洗いましょう。(筆の洗い方と保管の欄を参照)
ご法度 その③ 使用後、濡れた状態で横にして保管する → 気づかないうちに変な癖がつきます。
重力で穂全体が曲がったまま乾燥し、そのままの癖がついてしまいます。
では、どんな扱い方・手入れの仕方が良いのでしょう?
<筆を初めて下ろすとき> → 穂全体をほぐし、水で洗ってから使います
穂先から穂の根元方向へ指の腹を使い優しくほぐしていきます。穂がほぐれたら水またはぬるま湯で穂全体を軽く洗い、着いていた糊を落とします。その後は通常通り墨を付けて使用します。
<書いている途中で席を離れるとき> → 筆立てに差します(筆筒ではありません)
書いている時に電話や宅配便が来たりすることはよくある事です。そんな時に筆をそのままにして席を立つと「ご法度 その②」と近い状態になり後々悔やむことになります。それを防ぐには「筆立て」を使います。ガラス製の物が一般的です。10分・20分など短時間席を離れる時に使い、穂の乾燥を防ぎ席に戻った時に良い状態で使えます。但し、長時間差したままにしておくことは出来ません。2時間・3時間差したままにしておくと、墨が劣化して変な滲み方をしたり、表装時に滲んで作品を台無しにする事もあります。また筆も傷みます。使用は必ず短時間にしてください。
<筆の洗い方と保管> → 水の中で揉み洗いをします 吊るして陰干しをします
穂が二つに割れる(ご法度 その②―2)ほとんどの原因は穂の根元に墨かすが溜まっている為です。それを防ぎ、筆を長持ちさせるには次の洗い方をお勧めします。
1 溜めた水の中で筆を洗います。(流水で洗っても筆の表面にしか水が当たらず中心まで洗えない)
2 水の中で指の腹を使い優しく墨を押し出すように揉み洗いをします。
3 特に穂の根元は墨かすが溜まりやすく筆の割れになるので念入りに洗い、墨が出てこなくなるまで揉み洗いします。
4 軽く水分を拭き、穂の形を整えてから「筆掛け」に吊るして乾かします。(陽が当たらない様に注意 陽が当たると毛を傷めます)
※「筆掛け」は筆を良い状態で使うための必須の道具です。本数や筆の大きさ・好みに応じて色々な製品があります。また、壁に釘を打つ だけでも「筆掛け」の代用ができます。(壁が汚れてしまいますが)
筆は職人さんが多くの手間をかけて手作りをしている道具です。
大切に可愛がって使ってあげましょう!
はやてパパ
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