ブログをご覧の皆さま、こんにちは
安徽省宣城市泾县(せんじょうしけいけん)にやってきました。
いや〜変わったな〜って感じです。中国の経済発展は本当にすごい。
日本の経済成長の時もビルがガンガン建って街は変わって行ったのでしょうが、40代前半の私はそれを知りません。
ですので中国来ると「あ!また変わった!え!?なにこれまた作ったの?」って感じです。
当社の中国支社は杭州近郊にあるのですが、コロナ禍で3年半中国に来られなかった期間に
モノレールが走りショッピングモールができ、1億円のマンションが乱立。
30階建てのマンション群が近所で出来たのを見てゲームの世界みたいな感じです。
誰がこんな田舎で1億円のマンション買うんだ?って思っていたら従業員さん買っていて驚き!
うちの高~い給料で一億のマンション買えるのか?!って思ったら戚さんの旦那さん会社の重役で
息子さんはタオバオで勤務、お嫁さん弁護士とか言っていたな。今度遊びに行ってみよう。
セキュリティ厳しいから入れてもらえるかな、、、
あ、話を戻して、泾县も新幹線の駅ができ数年街の姿はすっかり変わりました。
街中は新しい建物や飲食店が出来ていましたが、車を少し走らせると紙工場が現れます。
紙工場の前の山を見ると稲藁が山の斜面に干してあるのを見ると「宣紙の町だな」って思います。
宣紙は稲藁と青檀皮の2つの原料で出来ています。
日本で多く使用されている棉料単宣は、稲藁の比率が60%から70%で青檀皮が40%から30%が棉料です。
逆に青檀皮の比率が60%から70%だと浄皮です。
青檀皮や稲藁の割合によって品名が変わります。
各社配合比率はオリジナルで企業秘密です。
仕入ない限り正確な数字は教えてもらえませんが目安としてください。
棉料は、稲藁の比率が多いので滲みが多く、柔らかい紙になります。
浄皮は、青檀皮の比率が多いので滲みが少なく、破れにくい強靭な紙で墨色が出しやすいと言われています。
青檀皮はこんな感じの木です。 刈り取った後がこちら
稲藁の原料はこんな感じです。 山の斜面で乾燥してる所です
その後各原料を蒸したり洗ったり漂白、選定などして原料と変わります。
棉料と綿連の違いを聞かれることがあります。
棉料は原料が稲藁の多い事を表して、綿連は紙の厚みです。
紙の厚みは以下の様です。
下に行くほど厚い紙です。
浄皮羅紋 細かな網目上状の簾の目を使い漉かれ、羅紋模様が特徴です。
棉料綿連 稲藁の比率が高く単宣より薄く漉かれています。滲みも多めです。
浄皮単宣 浄皮比率が高く滲みは綿料単宣より少なめです。
浄皮比率が高いので紙は破れにくいです。
棉料単宣 日本で1番多く使われているスタンダード商品です。
棉料単宣が基本となる商品です。
棉料重単宣 棉料単宣を厚めに漉いた紙です。単宣では滲むとか破れるとか思う方に
お勧めです。滲みが緩やかになりしっかりと墨を入れることが出来ます。
棉料夾宣 紙を漉く際に漉き船(水槽)の中で原料を2回すくい上げて漉いた紙です。
単宣を2枚にした位の厚みになり、紙が厚いので墨がしっかり入った
部分は濃く強い黒を表現できます。
棉料二層夾宣 棉料夾宣を乾燥させる際に2枚重ねで1枚の紙として乾燥させた紙です。
棉料三層夾宣 棉料夾宣を乾燥させる際に3枚重ねで1枚の紙として乾燥させた紙です。
紙の厚さとして参考にしてください。
薄手の紙を好む方は棉料綿連かお店で単宣の薄いものと指定をされるといいと思います。。
標準的な厚みとして、単宣。
厚みのある紙であったり滲みを少し抑えた紙、楷書隷書篆書には重単宣などお勧めです。
夾宣は紙も強いので水墨画や一字書などにも使える紙になります。
皆さんがどんな風合いに紙が好きでどの様な字を書きたいか、墨色や表現をどうしたいのかを
大玄堂や書道用品店に相談しておすすめの紙を手にしてみてください。
ちなみに日本では宣紙と言えば棉料単宣が多く使われますが、中国では浄皮単宣が一般的です。
また紙の厚さは四尺の単宣で3.3〜3.6キロ程を使用されることが多く重たい紙といった感じより
しっかり目の詰まったパンとした紙といった様な紙が多いです。
浄皮比率が多く墨色が出やすく、紙が厚いので濃淡が付けやすい感じです。
墨をよく取りますが滲みは程々で淡墨にも向きます。
なかなか日本の市場ではこれくらいの厚みは好まれないのと、昔は厚い紙でしたが昨今は
四尺で2.4キロくらいを好まれるので中国のまんまの宣紙はあまり日本では見かけないですね。
最後に棉料と綿連の感じの使い分けだけ。
よく間違えてしまいますよね。このように覚えて貰うと間違えにくいです。
「棉」は木なので木から切り出した加工前のもの。だから原料。棉の原料で棉料。
「綿」は糸になっているので、加工済の原料で作るもの。綿を連ねることによりできる紙。
だから紙の加工具合で綿連。
今後もいろいろなブログを発信していきますのでよろしくお願いいたします。