梅雨の季節、皆さん如何お過ごしですか?
こういう時期こそ展覧会めぐりもいいかと思います。展覧会場は空調も効いていて気持ちいいですし(笑)。
今回は展覧会場での額の掛け方について御紹介します。大きな額いったいどうやって吊るしているの? と感じられた方いらっしゃいませんか?
書道用品店は展覧会場の作品の飾り付けの仕事の一つです。その疑問にお答えします。
展覧会場には通常、天井の隅にカーテンレールの様なものが造りつけられてます。それには長いワイヤーのついたフックが掛けられていて、左右に自由に移動できます。ワイヤー上部の天面との境目につける金具を「へそ」などと表現したりします。
まずは額を飾る壁面に作品を並べていきます。このとき、作風や色合い等を考慮し、お互いの額の間隔を調整しながら飾り付ける位置を決定します。
並べ終えたらいよいよ飾り付けです。垂れ下がっているワイヤーの途中に、高さの調節できる金具がついていて(「自在」といいますが、我々は「ロケット」などと表現したりもします)、好きな高さで固定できます。その金具の先は掛けられるようなフック型をしています。
大きな展覧会場では長い縦の額を二段に掛けたりもしますので結構力作業なんです。
大きな額は吊るさずに背の低い机の上に置き、壁面との間にワイヤーや金具を使い固定します。しかし、大体の大きさならば通常は吊るして飾り付けします。畳二枚分位までの大きさならば通常は吊るしますが、畳三枚分位の大きさの額となると上記のような展示方法をとることが多いです。
さて額の裏面ですが、通常額の裏には掛けるための紐が左右に渡してあります。
その金具(ロケット)を紐にひっかけて吊るします。
縦長の額はワイヤー1本、横長の額は両端にワイヤー1本ずつ使い吊ります。
作品は鑑賞しやすい高さにまっすぐに吊るようにします。展覧会場によっては高さが統一されている個所もありますので、その際は吊るした後に高さを調節します。
いろいろな会場、さまざまな方法がありますが、概ねこのような飾り付けをしていきます。どの展覧会場でもよく使われるのがこちら
形の通り「Sカン」と表現していますが、これはかなり役に立ちます。ワイヤーではなくチェーンで飾り付けをする会場での「ロケット」や、「へそ」が足りないときの代用など、かなり融通の効くアイテムです。
展覧会の飾り付けは額を傷つけないよう細心の注意をはらいます。体力もいりますがきれいに飾り終えたあとは、何とも言えない満足感で一杯になります。
お客様に喜んでいただける仕事をしていきたいです。
筆者名:安江